About

都市アーキビスト会議/IoUAとは

「都市アーキビスト会議」は、都市デザインと、都市のための建築をデザインするための手法を学ぶことができるインターカレッジ・スタジオです。参加者は主に関西圏の大学で、3年生以上の学部生、院生が参加し、研究室単位、または正規の演習科目のなかで実施することを想定した教育プログラムです。前身の「京都建築スクール」(2007年発足)から徐々に参加チームを増やし、都市空間のデザイン手法の議論を深めながら、10周年を迎えた2016年、新メンバーを加えて「都市アーキビスト会議/Institute of Urban Archivists(IoUA)」として生まれました。
都市空間、都市における人々のアクティビティを調査・アーカイブすることを明確化し、ジャーナルを発行しています。専門家、行政関係者、事業者による論考やインタビュー、研究室による独自の都市リサーチと、これからの都市空間のプロトタイプづくりに取り組んでいます。

都市アーキビスト会議/IoUAのミッション

・都市に対するさまざまな教員・学生が互いに議論し刺激をあたえ合うことにより、都市デザインのアイデアや方法を積みあげ、社会に対して提案性の高い成果をめざす。
・現在の都市をより深く知るための調査をグループで行い、データベース (アーカイブ) を作成・共有する。
・新しい都市の知識を活かし、都市のための建築デザインのプロトタイプ(かた)を提示する。
・都市の調査手法等の学修、都市のための建築設計のトレーニングを実践し、都市に対する幅広い知識を修得する。またそれらを蓄積し広く共有する。

原則3年間を一区切りとして、3年間の大きなテーマとそれを毎年の小テーマ、さらに各チームが取り上げるアーカイブ対象に細分化していきます。
各チームは時代や地域,用途上の区分の中で,自らの調査対象の特性を把握し,他チームの都市調査の進捗・方法を共有しながらスタジオを進めます。
前年のアーカイブを生かした調査、かたの提案をおこなうことが可能になります。

「ターミナル」
2021年:  まちの中の駅、駅の中のまち
2020年:  駅と都市のインターフェイス
2019年:  廃駅、新駅、特殊用途路線

「ステイ」
2018年:  ホテル未満の宿泊施設
2017年:  ポストリゾート
2016年:  都市を予約する

「リビングシティ」

2015年:  公共の場の再編
2014年:  商業の場の再編
2013年:  居住の場の再編

「点・線・面」

2012年:  都市の<点・線・面>

「都市のルール」
2011年:  環境のルール
2010年:  アクティビティのルール
2009年:  境界線のルール

都市アーキビスト会議/IoUAの方法論

毎年4月から8月にかけて、3回のカンファレンスと2回のハッカソンを開催し、3年単位の共通のテーマに十数研究室が取り組んでいます。
この会議は大きく分けて3つのフェイズに分かれます。

①都市のアーカイブ
②かたの設計
③かたの適用・デザイン

このインターカレッジスタジオの一年の流れとしては、4月から7月までに3回のカンファレンスと2回のハッカソン(小規模なセミナ、分科会)を開催し、事前調査、本調査、かたの設計、かたの適用を発表・ディスカッションする。カンファレンスでは,専門家や研究者によるレクチャを実施する。
右側のスタジオの狙いとしましては、下線で引いた部分がこの活動において特徴的だと思います。都市のアーカイブについては、何かをアーカイブする、データベース化する際には、おのずとデータを分類して整理する必要があります。その分類を月並みの分類ではなく、設計・デザインに役立つ方法で分類します。現在の学生が都市生活で実感している,「こう変わったらな」とか「こう変えたらもっとよくなるな」といったデザインする視点で分類することを「かたをデザインする」ことと定義しています。それらの分類法をツールとして実際の敷地に設計してみて,有効なツールとなるかを検証するのが「かたの適用」のフェイズです。

① 都市のアーカイブ
私たちが「アーカイブ」という言葉を使う理由は、設計したい対象物をあらかじめ決めて、その事前調査のために都合のいいデータを恣意的に収集するという考え方を排除するためです。また、データベースとは言わずに、アーカイブと呼ぶのは各課題に取り組んだ瞬間の調査対象の状態をそのままに捉え、調査を作品化することを強調するためです。データベースは更新され書き換えられていく種類のものですが、アーカイブは調査対象の「今」にいかに迫れたかという活動と手法により意識的です。
建築的な表現である図面(とその新しい表現)、ダイアグラム群、一覧性や検索性を高めたデータのビジュアライズなど。アーカイブの対象が多く複雑なほど、また現象的、時間的なものであるほど、より単純な二次元の媒体に表現することを目指します。

②かたの設計
「かた」の設計の前に、アーカイブから設計対象を見つけ出すプロセスが必要になります。多くのアーカイブ対象を扱う中で、共通項や分類の方法を見いだして、アーカイブという行為が可能になります。そをを手がかりに、どの部分集合(群)を設計対象とするべきか、アーカイブ対象の何の属性に着目するべきか、対象全体を設計の範疇にできるかを考えます。
「かた」をプロトタイプと捉えてもかまいません。これからの都市における設計対象のあり方を提案することを目標として、アーカイブの結論から、より効果的な設計対象を見つけ出します。またはすべてのターゲットに適用させるためのパラメータを設定し、それを使った設計の方法を考えています。より影響範囲の大きな、広い領域(ドメイン)、大きな対象の集合(レンジ)を設計対象とすることが「かた」の設計です。

③かたの適用・デザイン
「かた」の設計で示した設計手法は、前の段階であるアーカイブからの手順(プロセス)の正しさによって以上に、「かた」の設計手法が実際の都市に適用され、役に立つツールとなるかという実利性によってその正当性を評価します。プロトタイプの設計においては、ターゲットとする対象に対していかに適用範囲が広いかも重要です。(複数の)場所、対象に対して、「かた」の設計が正当なもの(役に立つもの)であるかを建築デザインのプレゼンテーションを通して示す過程です。

都市アーキビスト会議/IoUAの出版物

教育活動としての周知,社会への貢献のための中心的な手段として,アーカイブ集の出版を行っています。毎年の公開レクチャや,公開プレゼンテーション,作品展示も行いますが,アーカイブの大テーマごとの3年に1冊のペースで出版する。毎年後期に参加学生を含めて編集を行い半年をかけて会全体の内容を学ぶ機会となる。またアーカイブしたデータを広く資料として公開するとともに、都市から考える建築デザインのノウハウを提供します。
前身の「京都建築スクール」の書籍も含めて紹介していますが,アーカイブとかたのデザインという2本立てを明確なコンセプトとしたのは6年前の「都市アーキビスト会議」からですが京都建築スクールの時から、設計物を特定とせず都市の調査を中心的な目的に据え,また都市のルール、ある意味でかたに着目してきました。コアメンバーも京都建築スクールから関わっており,活動としてはつながっています。

お問合せ
都市アーキビスト会議 事務局
〒577-8502 大阪府東大阪市小若江3-4-1 近畿大学松岡聡研究室内
Tel: 050-5438-6147
E-mail: ioua@matsuoka-lab.org
http://ioua.matsuoka-lab.org/